同じ子が繰り返す傾向あり?子どもの暴力

文部科学省は昨年秋、2023年度に全国の小学校で報告された児童による暴力行為が7万件を超えたことを明らかにしました。
これは10年前と比べておよそ6倍に増加しており、その背景にはどのような要因があるのでしょうか。
今回は、生徒指導に詳しい関西外国語大学の新井肇教授にお話を伺いました。
(※2025年4月8日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

増える子どもの暴力行為、子どもの衝動性と大人の対応力が問われる時代へ

近年、小学生による暴力的な行動が顕著に増えているとの報告があります。
この増加にはいくつかの背景が考えられます。
1つは、統計の集計方法の変化です。2013年にいじめ防止対策推進法が制定されて以降、小学生による暴力行為の件数が増加傾向にあります。
この法律では、加害者の意図や行動の強さにかかわらず、他者に不利益を与える行為が「いじめ」として捉えられるようになりました。
その結果、従来は単なるけんかやトラブルと見なされていたような低学年児童同士の行動も、暴力行為として記録されるようになった可能性があります。
もう1つの要因としては、1人の児童が複数回、同様の行動を繰り返しているという事実が挙げられます。
2023年度には約7万件の暴力行為が報告されましたが、加害児童の人数は5万1720人であり、この差からも特定の児童による繰り返しが多いと見られます。
衝動的な行動が増えているその可能性は十分にあります。
少子化の進行により、きょうだいや地域での子ども同士の関わりが減少し、集団での遊びの機会が乏しくなっています。
本来、子どもたちは遊びの中で、他者との意見の違いやトラブルを経験しながら、自分の感情を抑える方法や、折り合いの付け方を学んでいきます。
しかし現代の子どもたちは、そのような体験を積む機会が少ないため、自分の思い通りにならない場面で、感情のコントロールが難しくなっていると考えられます。
今、必要とされているのは、子どもたちの衝動に向き合い、対話を重ねる「ゆとり」と「姿勢」を、大人――すなわち保護者や教育関係者が持つことです。
子どもを責める前に、社会全体で子どもを育てるという意識が求められています。

言葉にできない衝動・・・集団生活とデジタル環境が育む課題

幼稚園や保育園でも子どもたちは集団で過ごしていますが、実際には一人一人がそれぞれ自由に行動している場面が多く見られます。
ところが、小学校に進学すると、30人ほどのクラス全体が同じ行動を求められる場面が増えます。
このような統一的な集団行動に慣れていない子どもたちは、自分の思い通りにいかない状況でフラストレーションを抱え、衝動的な行動に至ることがあるのではないでしょうか。
さらに、バーチャル空間の影響も無視できません。
こども家庭庁の調査によれば、2歳児のうちおよそ6割がインターネットを利用しているという結果が出ています。
子どもが暴力的な映像やゲームに頻繁に接している場合、その内容を模倣するような形で暴力的な行動を取ってしまうリスクも考えられます。
子どもが感情を言葉で表す力についてはどうでしょうか。
現代の子どもたちは、自分の気持ちを適切な言葉で表現する力が十分に育まれていない傾向が見られます。
たとえばスマートフォンの予測変換機能では、「あ」と入力するだけで「ありがとう」などの言葉が自動的に表示されます。
本来であれば、自分の感情に向き合い、言葉を探す過程を通じて自己理解や他者とのコミュニケーション力を育てていくはずです。
しかしその過程が省略されやすくなっており、感情と言葉の結びつきが弱まっているのではないかと感じます。

学校や保育現場が抱える課題も多く・・・体勢の限界と暴力行動の連鎖

他にどのような要因があるのでしょう。
児童による暴力が「繰り返されてしまう状況」を生んでいるのは、指導の在り方にも課題があると考えられます。
小学校では基本的に1人の担任がすべての指導を担っているため、問題行動が起きても十分な対応が取れないまま時間が経過し、状況が悪化してしまう恐れがあります。
しかし、担任が1人という体制自体は、従来から変わっていません。
確かに以前からの体制ですが、現在は別の問題が重なっています。
まず、経験豊富なベテラン教員の大量退職により、若手や新任の教員が急増しています。
その結果、現場では対応力が追いつかず、指導に難しさを感じる場面が増えているのが現状です。
また、以前であれば先輩教員の姿を間近で見ながら実践的な知識や技術を学ぶことができましたが、そうした学びの場も減少傾向にあります。
知識や技能の継承がうまく機能しなくなっていることも、教育現場にとって深刻な問題です。
さらに、家庭から学校への要望が増えており、担任以外の教員が少ない小学校では、互いにサポートし合う余裕も生まれにくくなっています。
人手不足の問題も重なり、教員1人あたりの負担が非常に大きくなっていると言えます。

衝動と心の声に寄り添う大人の責任も。小さな子も見えるサイン

未就学児においても、暴力的な行動は見られるのでしょうか。
幼稚園や保育園に通う年齢の子どもたちの中にも、感情を抑える力が十分に育っていないケースが増えている可能性はあります。
ただし、幼保の現場では個々の子どもの特性を重視し、個人のペースに寄り添う対応が一般的です。
そのため、攻撃的な行動が「暴力」として明確に認識されにくい状況もあると考えられます。
そうした子どもたちにどう接するべきなのでしょうか。
暴力的な行為が増えている背景には、子どもたちの心の不安定さが深まっている現実があると見られます。
このような時こそ、私たち大人が丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要です。
子どもが自分の気持ちを言葉にして表せるよう、しっかり耳を傾ける姿勢が求められます。
また、親や先生自身にも、子どもと向き合う余裕が必要です。
子どもは大人の行動や言葉を敏感に受け取る存在です。
近年は社会全体で、対話によって対立を乗り越える努力が軽視されつつあるようにも見受けられます。
大人たちがどのような価値観を子どもに示すのか、その姿勢が今、改めて問われています。

関連記事

PICK UP

  1. 和歌山県和歌山市の子育て環境

    ★和歌山県和歌山市はどんなところ? 和歌山市は、関西地方の南西部に位置する県庁所在地で、豊か…
  2. キッズパークキャンペーン情報【バレンタインキャンペーン!新しいパークサポーターさんと出会おう!】

    キッズパークでは、バレンタインデー、ホワイトデーにちなみ、【バレンタインキャンペーン!新しいパーク…

おすすめ記事

  1. 2023/8/10

    キッズパーク
    キッズパークは当日の予約や定期的な依頼もできるベビーシッター・家事代行サービス会社です。最大のメリッ…
  2. 幼児にとって食育は非常に大切です。適切な食育を実施することで健康的な食生活を身につけるだけでなく、指…
  3. 横浜市は、子育て家庭にとっては、様々な支援事業があり、子育てに必要な情報提供や相談支援、子育て支援グ…

ベビーシッター会社

ベビーシッター編集部

子育て中のママさんグループが定期的に役立つ記事を発信中!ベビーシッターに関することをメインに最新情報を更新しています。

ページ上部へ戻る